久しぶりに、現代音楽ではない作品の演奏動画です。
私の大好きな作曲家の一人、フランシス・プーランクの「エディット・ピアフを讃えて(15の即興曲より 第15番)」です。
プーランクの作品の中でも、比較的よく演奏される曲ではないでしょうか。
20世紀前半のフランスを代表するシャンソン歌手、エディット・ピアフの繊細ながら力強い歌声を思わせますこの曲は、メロディーを重視したプーランクならではの名曲ですね。
ちなみに、実際のエディット・ピアフの歌声はこんな感じです。
Pianist
久しぶりに、現代音楽ではない作品の演奏動画です。
私の大好きな作曲家の一人、フランシス・プーランクの「エディット・ピアフを讃えて(15の即興曲より 第15番)」です。
プーランクの作品の中でも、比較的よく演奏される曲ではないでしょうか。
20世紀前半のフランスを代表するシャンソン歌手、エディット・ピアフの繊細ながら力強い歌声を思わせますこの曲は、メロディーを重視したプーランクならではの名曲ですね。
ちなみに、実際のエディット・ピアフの歌声はこんな感じです。
2019年に、ウィーンの「アルテ・シュミーデ」でリサイタルを行った際に初演した、アリ・ロンパネンの「スノーボールアース」を改めて録音しました。
難易度、そして複雑さを極めた作品を書くというミッションの元に生まれたこの作品は、和声・アラベスク・連打という3つの要素をベースに発展していきます。スノーボールアースとは、かつてあったとされる、地球表面全体が凍結するほど激しい氷河時代の、凍った地球のこと。まさに想像を絶するような凍てつく寒さや、激しい地吹雪を思い起こさせるような曲想です。
ここ最近の連日の猛暑日には、ちょうどいい選曲かもしれません。(笑)
ちなみにこの作品は、私がグラーツの現代音楽科にいたころ、楽譜から音符をできるだけ速く読んで弾く訓練として、レッスンで出された課題でした。しかし、音数の多い曲はある程度覚え込むことなしには弾けないですね…(そして、譜めくりの時間がないことも)。
6月3日、フィンランドのエスポ―にて、私の作曲したピアノのための小品「Lacerta」と「5拍子のワルツ」が初演されました。
これまでも時々折に触れて紹介してきた作曲家の友人、アリ・ロンパネン氏はピアニストでもあり、昨年のクリスマスから何度か延期になっていたコンサートがようやく実現したようです。
夏の花」と題されたプログラムは、フィンランドと日本の作品で組まれ、ロンパネン氏の作品とシベリウス、パルムグレン、三善晃、そして私の曲が演奏されました。
会場は子供のための文化施設で、自然あふれる外の公園にピアノを設置しての屋外コンサートでした。この日は気持ちよく晴れ、演奏中もずっと鳥がさえずっていたようです。
現地でもコロナ禍による規制でなかなか思うようにコンサートが開催できない時期が続いていました。今回も直前まで開催が危ぶまれたようでしたが、久しぶりの演奏会にお客さんも喜んでいたそうです。
演奏中のアリ (© Ari Romppanen)
このような穏やかな雰囲気の中、その場にいらした皆さんに楽しんでいただけたようで、私もとても幸せに思います。
素敵なプログラムと共に演奏してくれたアリ、そして聴いて下さった皆さんにこの場を借りて深く感謝いたします。
もう1曲、動画を公開しました。
フィンランドのギタリストで作曲家のカイ・ニエミネンの「バートルブース」 です。
バートルブースとは、フランスの作家ジョルジュ・ペレックの小説「人生使用法」の登場人物。ジグソーパズルに没頭する彼を軸に、アパートの住人の奇想天外な物語が展開されます。全100章、登場人物が1000人を超える長大な小説ですが、ユーモアに溢れる各エピソードがパズルのようにつながっていき、次の展開にいつもわくわくさせられます。
このピアノ曲も、小説同様ユーモアがちりばめられ、ハーモニーなど少しフランスの香りのする曲です。
最近、定期的に演奏動画を撮りアップするようになりました。
以前、ウィーンでお世話になったコロンビアの作曲家、アレハンドロ・デル・ヴァレ=ラッタンツィオの作品を紹介しましたが、この度新たに「ソナチネ」(2020) を公開しました。
ラテンのリズムと教会旋法的なカラーが特徴の曲です。お楽しみ下さい!
近年、世界各地で様々な芸術分野もしくは全く異なる分野同士のコラボレーションが盛んだ。目まぐるしい変化、また商業的・物質的になりがちな社会において、芸術の意義への再考、そして新たな道への模索が進んでいる。その中で、2018年から2021年にかけてヘルシンキで行われた、ジャンルの垣根を越え芸術について考察する企画「アカデミー・オブ・アーティスティック・シンキング The Academy of Artistic Thinking」(以下AAT)及びその集大成として行われた公演「キエロット (Kierrot)」について紹介したい。
AATは、芸術の本質をより哲学的にとらえ、表現の可能性について考察する、3年がかりのプロジェクトである。現地を拠点とするシルコ新サーカスセンターが主催し、国内で最大の芸術大学・シベリウス音楽院や国営放送YLE 、コネ財団との提携のもと実施された。主にパフォーマンスに関わる様々な芸術分野 – 演劇、舞踊、新サーカス、音楽 – において活動する30人ほどのアーティスト(企画の後半ではそのうち12人)が参加した。その中で、ただ一人の作曲家として参加したアリ・ロンパネン氏から、プロジェクトの内容について伺った。
プログラムは3年間のうち、一週間単位のセッションが合計8回、その後最終公演に向けてのリハーサルが適宜行われた。セッション期間では、参加者たちは7日間共に行動し、国内のフェスティヴァルや劇場で演劇、サーカス、音楽や舞踊など様々な演目を鑑賞した。そして作品の背景にあるテーマや思想、その表現方法についてなど特定の観点から議論をし、ジャンルを超えて共通する表現芸術の本質について掘り下げていったようだ。時々自分たちで小さなパフォーマンスを制作・発表し、また外部から専門家を招いての講演も行われたとのことである。
セッション期間で得たアイディアをもとに、参加者同士で集大成として作られた8回シリーズの公演が、2021年初めに上演された「キエロット」である。アカデミーの参加メンバーが8つのグループに分かれ、それぞれ「植物」「ジェンダー」「水平線と垂直線」など特定のテーマに基づいた発表がなされた。どのグループの公演も、メンバーによるトークとパフォーマンスの部分から成り、分野の異なるアーティストそれぞれの個性と強みを生かした内容となっていた。コロナ禍で刻々と状況が変化する中、直前までグループ編成や計画の変更を余儀なくされ、最終的に無観客でZoomによるオンライン配信となった。しかしその逆境を逆手に取り、視聴者とのディスカッションや質疑応答など、インタラクティブコーナーを設ける工夫もあり興味深かった。視聴者は大半がフィンランド国内だったが、ドイツやフランス、また私を含め日本など国外からも注目を集めたようだ。
例えば植物をテーマにしたグループでは、鉢植えの植物がエレベーターに乗ってスタジオに集合する様子をストップモーションのアニメで表現し、さらにサーカスのアーティストが植物になりきり演じていた。特に自然が生活と密接にかかわるフィンランドにおいて、自然界にある植物や樹木、街路樹、または庭や室内にある観葉植物は私たちに物理的・精神的にどのような影響を与えているか、また逆に人間から植物に対してはどうだろうか…といったことをテーマに考えたようだ。ジェンダーのグループでは、性に対する固定観念を取り払った衣装でのダンスやラップ、アクロバット・パフォーマンスによって、既成概念に疑問を投げかけていた。「水平線と平行線」では表現義的な詩の朗読と、バラフォン(西アフリカの木琴)の演奏、250個の透明な風船を散らしたスタジオをバックに、ロープを使った見事なアクロバット・パフォーマンスが披露された。風船は透明性や開放性、ロープは団結や活動的な要素を表現するなど、小道具一つとっても細部にわたり考え抜かれた演出であった。
音楽をテーマにしたグループでは「調性と無調性」を中心にトークとパフォーマンスが展開された。サウンドデザイナーのペッテリ・ヤランティ氏が魚のぬいぐるみ「ボッレ・フォン・アッフェナ」と共に巧みな話術で司会を務め、先述の作曲家アリ・ロンパネン氏が様々な音楽を例にとりながら、調性音楽と無調音楽の違いや、受ける印象などについてピアノ演奏と共に説明した。さらに先述のジェンダーのグループのパフォーマンスのビデオを用いて、そのBGMを全く違う曲に入れ替え、どのように印象が変化するか視聴者向けにアンケートが取られていた。
このグループの公演の国内の視聴者には、予め発泡粘土やモザイク、グリッターやボールなどが入ったクラフトキットが郵送されていた。プログラムの後半では、ロンパネン氏の作曲した「昼顔 (Convolvulus)」を聞きながらクラフトキットで自由に造形をし、作ったものをZoomの画面越しに見せ合うという、視聴者も楽しめるコーナーが用意されていた。動物など具体的なものを作る人、うねうねした得体の知れないものを作る人など、同じ音楽を聴いても皆作るものは千差万別で、とても興味深かった。
ところで、各グループの公演ではそれぞれ「共通のモチーフ」が使われていた。例えばロンパネン氏の「昼顔」は他のグループのパフォーマンスでもBGMとして断片的に使われ、また「水平線と平行線」で使われた詩のテキスト、植物や石、ロープなどの小道具も、モチーフとして複数のグループで共有されていた。この公演シリーズ「キエロット」のタイトルは「回転する」という意味を持つが、その名の通り、各グループを共通のモチーフが回り巡って、橋渡しの役割を果たしていた。
私が当初想像していたパフォーマンスは、舞台上または画面越しに演技を観客が鑑賞するという、一般的な形式だった。そのため、比較的アーティストのトークやディスカッションが多く、そこに観客を巻き込むスタイルに初めはやや戸惑った。しかしこれはAAT自体が「芸術的思考」について研究し、広めることを目的とした企画であることを考えると十分に納得がいく。深い洞察と哲学的思考に満ちた内容を、こうして創造的な手段で伝えることで、アートをより身近に感じさせると同時に、アートを発信する側の考え、即ち「アーティスティック・シンキング」を共有することに成功したと言える。
芸術の核となるものは、私たち全ての人間に普遍的な感情や思考である。しかし、その本質的な部分を人々にわかりやすく、かつ表面的にならずに伝えるのは、そう簡単ではないのだろうか。AATの企画はその可能性への挑戦にも感じられた。この企画は来シーズン以降も、若干の変更はあれど再演を予定しているとのこと。さらに、音楽・描画・空中パフォーマンスを合わせたスピンオフ企画の構想も進行中だ。今後もこうした新たな試みが広がってゆくことに期待したい。
パフォーマンス(抜粋)、アーティストのインタビューなど(「Kierrot」の文字が入ったプレイリストより視聴可能)
https://www.youtube.com/channel/UCCzg72QqSp0q5AC2lPdx8Jw/playlists
アリ・ロンパネン氏による楽曲「昼顔」
(以下、動画・画像は全てCirko、AATより提供)




街のあちこちで鮮やかなブルーの紫陽花を見かけるようになり、梅雨間近の季節を実感します。
さて、2月21日のブログ記事で一部紹介しましたヘルシンキの芸術プロジェクト「The Academy of Artistic Thinking」についての記事を公開しました。
2018年から2021年にかけてヘルシンキで行われた、ジャンルの垣根を越え芸術について考察する企画、そしてその集大成として今年初旬に行われた公演「Kierrot (キエロット)」についてのレポートです。写真や動画、音源も紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
https://jp.erikotakahashi.com/2021/05/30/aat-report/
異なる芸術分野における表現、特に相互間でインスピレーションを得たときの「表現の変換」 について。
ある音楽をもとにして描かれた絵、また逆に絵からインスピレーションを得た曲は世の中にたくさんあります。よく知られた例としては、絵→音楽ではドビュッシーの「金色の魚」、ムソルグスキーの「展覧会の絵」、音楽→絵ではクレーの「パルナッソス山へ」、マティスの「ジャズ」などが挙げられます。受けた印象や自らの思考を音楽または絵に反映させる際、作品を要素ごとに分解して変換したり、あるいはストーリーを想像したり…と、方法や過程はそれぞれ異なります。
以前このブログで、当時私が練習していたピアノ音楽「アルマクの砂場」をもとに描いた絵を載せたことがあります。このときの絵では、鋭い音の多い曲では図形も直線的で角ばった形になり、静かで休符・余白の多い曲だと描線が細く、絵の余白も多くなっています(そういえば、ブーバ・キキ効果というものもありますね)。
これらは無意識に行っていたことですが、その一方で曲のタイトルや背景といった知識が絵に与えた影響もあります。例えば「模倣」をテーマとしている第3楽章では、劇場のシンボルとして使われる仮面らしきものをメインのモチーフとして描いています。確かに曲だけ聞いてもカノン的な要素が聞きとれますが、この曲のテーマを知らなければ、仮面のような具体的なものはおそらく描かなかったでしょう。
ちなみに、こちらは絵画ではなく粘土の造形ですが、曲の背景をほとんど知らずに取り組んだ例をやはり以前アップしたことがあります。このとき聞いた曲は演奏時間20分、無調で比較的ゆっくりで穏やか、それでいて時折変化のある曲想でした。このときは、他にも参加者がいたのですが、川のある土地のようなもの、またはカモメのように具体的な形を作る人、あるいは紙と粘土を丸めて抽象的な形を作った人、様々でした。
聴覚と視覚、時間の有無…など、異なる分野の間でどのように影響し合い、表現が受け継がれるのか、検証してみると面白いですね。
※今回の内容はこちらの記事(英語)でも紹介しています。

(パウル・クレー「パルナッソス山へ」 出典: https://www.musey.net/32856)
さて、4月7日のかわさき区ビオラコンサートでは、私の作曲した短い曲「Lacerta」も演奏させていただきました。
Lacertaとはラテン語でトカゲ座のことなのですが、演奏会当日のMCで「家の庭に時々現れるヤモリから着想を得た」と説明した際、ヤモリがなぜ星座であるトカゲ座に結びついたのか、矛盾が残ってしまったことに気づきました…。
そんなわけで、今更ですが、タイトルや曲の雰囲気を決めるきっかけになった、エピソードを共有したいと思います。
昨年の夏、実家の庭の菜園にしかけられていた虫取りテープに、1匹のヤモリがかかってしまいました。救出しようとしたのですが、しっかり張り付いてしまって、簡単には剝がせません。助けたときにはすっかり弱ってしまい、そのまま息を吹き返すことはありませんでした。
私は死んだヤモリを土のくぼみの上に横たえ、傍に咲いていた花を上におきました。その後様子を見てみると、ヤモリの周りに無数のアリが群がっており、更に数時間後には、彼らに運ばれたのか、そこにヤモリの姿はありませんでした。
きっと今頃、夜空の星となって再び自由に走り回っているかもしれない…。
自然の沙汰を間近で見て、感慨深く思った記憶です。
4月7日(水)、川崎にて行われましたビオラコンサートが無事に終了いたしました。
会場の川崎市役所ロビーは天井も高く、素晴らしい音響でした。ステージの周りには区の花・ビオラが飾られており、温かい雰囲気の中気持ちよく演奏することができました。
今年は10年目とのこと、こうした文化イベントが地域の皆様に長く親しまれ、また継続することは決して容易ではないと思います。
前半は良く知られた春の名曲、後半は普段あまり耳にする機会の少ない曲で構成しました。MCにて曲目解説を入れましたが、それでも少し難しい印象になってしまったかもしれません。バランスって難しいですね。それにもかかわらず、会場の皆様に最後までお聞きいただけたことは私として大変嬉しい限りです。
演奏会の写真がこちらにてご覧いただけます。
準備から当日まで、細やかにサポートして下さったスタッフの皆様にも、深く感謝申し上げます。
今回日本初演だったロンパネン氏の「サクラ」にちなんで、桜の写真を1枚。