• シェア奥沢でのリサイタルが終わりました

    もう一週間経ってしまいましたが…

    先週9月4日、シェア奥沢でのリサイタル「音で奏でる自然―光と影」が無事に終了いたしました。

    久しぶりのリサイタルで、1時間プログラムを2回演奏、自分のお気に入りの曲ばかりの選曲、初演曲もあり…ということで、私にとってなかなかこだわりの入った演奏会でした。

    会場のピアノも1917年製で、ちょうどプログラムの曲と同じ年代の楽器。とても温かな音色を奏でてくれました。

    また、会場のオーナーさんがフィンランドの建築や文化にご興味がおありで、控室の椅子や会場のお花の花瓶もアアルトのデザインという、偶然にもフィンランドプログラムにぴったりのコラボレーションでした。

    事前のリハーサルで楽器を使わせて下さり、またプロと変わらぬカメラワークでライブ配信して下さった堀内さん、企画段階から諸々の手続きまで沢山お世話になりました朝倉さん、当日お忙しい中いらして下さった皆様、応援して下さった方々、遥かフィンランドとリモートで繋ぎ、初演曲を聴いていただきアドバイスくださった作曲家のアリ。本当に多くの方々に支えられているのだと、感慨深い気持ちになりました。心から感謝申し上げます。

    ライブ配信の映像も残っていますので、こちらからご覧いただけます。

    そして、初演曲の「エラキス」(アリ・ロンパネン作曲) はこちら。

    さて、現在はこの本番が終わるまで放置していた曲たちを慌てて練習中です💦 次は9月21日(水)、昨年に引き続きあおば音楽ひろばに出演させていただきます。今年はフルートの齋藤志野ちゃんとの共演。久しぶりの室内楽が楽しみです!

  • 第8回日本・フィンランド新音楽協会演奏会

    先日5月25日に、駐日フィンランド大使館において、私の所属する日本・フィンランド新音楽協会による演奏会が行われました。

    今季を持って任期満了を迎えられるペッカ・オルパナ大使ご夫妻への感謝を込め、様々なフィンランドと日本の作品が演奏されました。歌やトリオ、邦楽など編成も変化に富み、皆様の素晴らしい演奏を楽しむことができました。私は今回、ロンパネンの「桜」 そして「菊」を演奏させていただきました。

     終演後に大使ご夫妻、ご出演の皆様と共に。

     終演後には穏やかな雰囲気で、レセプションも開催され、フィンランドの軽食と共に歓談のひとときを楽しみました。

    これまで毎年開催していた大使館での演奏会ですが、今回はコロナ禍を経て3年ぶりの開催でした。こうして対面で文化的交流ができることの素晴らしさを、改めて実感しました。

    お世話になりました皆様、どうもありがとうございました。

     

     

  • ウィーンでの演奏会 – Insel / Frieden @ Alte Schmiede

    しばらく更新が空いてしまいました。皆様いかがお過ごしでしょうか。

    先週、以下の演奏会のためウィーンに行ってきました。渡航に際してはまだ何かしら制約があるものの、大きな問題もなく無事に戻って来られました。

    https://alte-schmiede.at/alte-schmiede/recital-2/anna-ihring-eriko-takahashi

    過去にも何度か共演している、コロラトゥーラ・ソプラノのアンナ・イーリンクとの演奏会でした。今回は新作の初演も含め、オーストリアを中心に様々な作曲家の作品を演奏しました。

    今回、それぞれソロの作品も演奏しました。彼女は、エレクトロニクスの作品や (歌ではなく)声色で表現する作品、鋏を持ってカスタネットのように鳴らしながら歌う作品なども披露し、素晴らしい集中力での熱演でした。

    私は、アポステルの「クービニアーナ」から4曲、そしてロンパネンの新作・委嘱作品「カローンの静寂」を初演しました。

    「クービニアーナ」は、オーストリアの画家クービンの、不気味で陰鬱な絵画に着想を得た作品。実は今回、ちょうどレオポルト美術館でクービン展をやっていて、まさにぴったりのタイミングで見ることができました。

    「カローンの静寂」は、冥界の渡し守カローンにより霊魂があの世に運ばれ、裁きのときまで己の人生を振り返る―といった様子を描いています。

    この作品では内部奏法が使われています。ピアノの構造(フレームの位置など)はそれぞれ違うため、当日の朝まで会場のピアノがどのようになっているかわからず、どきどきでした!無事に終えられてほっとしています。

    リハを重ね、私の渡航前から準備を進めてくれたアンナ、リハに立ち会って下さった作曲家の皆様、会場のスタッフそしていらして下さった方々、ありがとうございました!

     

  • 演奏動画:「華やかな翼の笑顔」(K. ニエミネン)

    再び演奏動画です。

    以前「バートルブース」の際に紹介しました、カイ・ニエミネンによるピアノ曲「華やかな翼の笑顔」です。

    何だか少し不思議で、それでいておしゃれなタイトルですね。スペインの画家ジョアン・ミロの同名の絵画がもとになっています。

     この作品は2つの楽章から成っています。1楽章はゆっくりした厳かな和音の部分と、軽やかに空中を飛んでいく翼を思わせる、速い部分の対比が聴き所です。2楽章はカタルーニャの悲歌(Plany)に基づいた、物悲しく憂いに満ちた曲想。

    どうぞお楽しみ下さい!

     

  • 演奏動画:「菊」(A. ロンパネン)

    少し更新が空いてしまいました。皆様いかがお過ごしでしょうか。

    さて、先日フィンランドのタンペレでは、ピアノコンクールが開催されました。第二次予選では、3曲の現代音楽からひとつを選択して演奏することが求められ、その課題曲のうちのひとつが今回ご紹介する作品、アリ・ロンパネンの「菊」です。

     よく聞くと、出だしの部分は以前紹介したことのある「Convolvulus」(昼顔)とそっくりですね。昼顔から菊への変身、といったところですが、雰囲気も構成も全く違うものに仕上がっています。沢山の花びらが集まって丸くなったように、左手の細かな音が絶え間なく周回し、その上に神秘的な右手のメロディーが浮かびます。

    菊と言えば桜と並んで日本の国花であり、皇室の象徴、パスポートの紋章にも使われている、高貴さを象徴する花ですね。(身近なところだとどうしてもお葬式の花を連想してしまいますが、尊さゆえに使われるということで、花自体に死者を弔う意味はないということを、初めて知りました…)

    こちらは、先日いただいた、中秋の名月にちなんだブーケ。真ん丸の菊は、満月そっくりですね。

    ちなみに、偶然か否か、コンクールの舞台に飾られた花の中にも、真っ白な大振りの菊の花がありました。 先日9月25日と26日に、二次予選に出場した参加者のうち4名によって初演されました。

      

  • 演奏動画:「スターシス II」(B. スパーン)

    蒸し暑い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

    新たな演奏動画を公開しました。

     バルト・スパーンの「スターシス II (原題:Stasis part 2)」です。

    オランダで活躍する作曲家で、ピアノ曲を始め室内楽作品も多く手掛けています。音楽学と歴史を専攻する傍ら、ロックバンドで演奏していたこともあり、作風にはしばしばポップスの要素を感じさせます。

    この曲はピアニスト、ラルフ・ファン・ラートのために書かれた3部作のピアノ曲「Stasis」の第2部にあたります。無限ループにはまったように繰り返されるモチーフが、ソステヌート・ペダルの効果により、宇宙空間を漂うように響きます。

     

  • 演奏動画: 「スノーボールアース」 (A. ロンパネン)

    2019年に、ウィーンの「アルテ・シュミーデ」でリサイタルを行った際に初演した、アリ・ロンパネンの「スノーボールアース」を改めて録音しました。

     難易度、そして複雑さを極めた作品を書くというミッションの元に生まれたこの作品は、和声・アラベスク・連打という3つの要素をベースに発展していきます。スノーボールアースとは、かつてあったとされる、地球表面全体が凍結するほど激しい氷河時代の、凍った地球のこと。まさに想像を絶するような凍てつく寒さや、激しい地吹雪を思い起こさせるような曲想です。

    ここ最近の連日の猛暑日には、ちょうどいい選曲かもしれません。(笑)

    ちなみにこの作品は、私がグラーツの現代音楽科にいたころ、楽譜から音符をできるだけ速く読んで弾く訓練として、レッスンで出された課題でした。しかし、音数の多い曲はある程度覚え込むことなしには弾けないですね…(そして、譜めくりの時間がないことも)。

     

  • 演奏動画: 「バートルブース」(K. ニエミネン)

    もう1曲、動画を公開しました。

    フィンランドのギタリストで作曲家のカイ・ニエミネンの「バートルブース」 です。

    バートルブースとは、フランスの作家ジョルジュ・ペレックの小説「人生使用法」の登場人物。ジグソーパズルに没頭する彼を軸に、アパートの住人の奇想天外な物語が展開されます。全100章、登場人物が1000人を超える長大な小説ですが、ユーモアに溢れる各エピソードがパズルのようにつながっていき、次の展開にいつもわくわくさせられます。

    このピアノ曲も、小説同様ユーモアがちりばめられ、ハーモニーなど少しフランスの香りのする曲です。

     

     

  • 演奏動画: ソナチネ (A. d. ヴァレ=ラッタンツィオ)

    最近、定期的に演奏動画を撮りアップするようになりました。

    以前、ウィーンでお世話になったコロンビアの作曲家、アレハンドロ・デル・ヴァレ=ラッタンツィオの作品を紹介しましたが、この度新たに「ソナチネ」(2020) を公開しました。

    ラテンのリズムと教会旋法的なカラーが特徴の曲です。お楽しみ下さい!

     

     

  • ピアノのための「ラチェルタ」

    さて、4月7日のかわさき区ビオラコンサートでは、私の作曲した短い曲「Lacerta」も演奏させていただきました。

    Lacertaとはラテン語でトカゲ座のことなのですが、演奏会当日のMCで「家の庭に時々現れるヤモリから着想を得た」と説明した際、ヤモリがなぜ星座であるトカゲ座に結びついたのか、矛盾が残ってしまったことに気づきました…。

    そんなわけで、今更ですが、タイトルや曲の雰囲気を決めるきっかけになった、エピソードを共有したいと思います。

    昨年の夏、実家の庭の菜園にしかけられていた虫取りテープに、1匹のヤモリがかかってしまいました。救出しようとしたのですが、しっかり張り付いてしまって、簡単には剝がせません。助けたときにはすっかり弱ってしまい、そのまま息を吹き返すことはありませんでした。

    私は死んだヤモリを土のくぼみの上に横たえ、傍に咲いていた花を上におきました。その後様子を見てみると、ヤモリの周りに無数のアリが群がっており、更に数時間後には、彼らに運ばれたのか、そこにヤモリの姿はありませんでした。

    きっと今頃、夜空の星となって再び自由に走り回っているかもしれない…。

    自然の沙汰を間近で見て、感慨深く思った記憶です。