• 2月、3月の演奏会

    2月22日には、ソプラノの和久井恵津子さんと一緒に、一昨年もお世話になりました横浜市南区生活支援センターの主催による「春を迎える会(冬の集い)」に出演させていただきました。

    オペラアリア、日本歌曲に加え、前回お客様からいただいたリクエスト曲などを演奏させていただきました。

    スタッフの皆様、ありがとうございました。

    3月9日には、日本シベリウス協会のコンサート「アイノラのつどい」にて、シベリウスのピアノ作曲「花の組曲」作品85、そしてバリトンの鈴木啓之さんの伴奏をさせていただきました。

    昨年、松濤美術館の演奏会の際には抜粋でプログラムに組ませていただいた「花の組曲」ですが、今回は5曲全て通して演奏できました。また、昨年12月のクリスマスコンサートに続き、シベリウスの歌曲を勉強させていただく貴重な機会となりました。

    お世話になりました皆様、ありがとうございました。

    なお、こちらは当日の演奏ではありませんが、YouTubeにも「花の組曲」をアップしています。

  • 演奏動画:「インテルメッツィ I」(望月京)

    皆さま、お正月はいかがお過ごしでしたでしょうか。

    遅くなりましたが、昨年11月のシンポジウム&演奏会で、私が演奏させていただいたもう一つの作品、望月京氏の「インテルメッツィ I」の演奏動画を公開しました。

    この作品は、フランスの思想家・文芸批評家でもあったロラン・バルトの断章形式についての考察からインスピレーションを得ているとのこと。一見無関係に聞こえるいくつかのテーマが順に演奏されていくのですが、「小石を並べるように」「断章形式を書き連ねることによって、それらのあいだに隠されたつながりが次第に浮き彫りになる」様子が表現されています。

    マレットで弦を叩いたり、自転車のチューブゴムで弦をこすったりと、様々な内部奏法も出てきます。最初はてんやわんやしていましたが、演奏していてどんどん楽しくなっていきました。共演してくれた齋藤志野さんは、ウィーンのアンサンブル「クラングフォルム・ウィーン」でも演奏経験のある大変優れたフルーティストです。キレのある彼女の演奏にもご注目ください!

  • 演奏動画:「インテルメッツィ」(A. ロンパネン)

    先月のシンポジウム・演奏会で演奏させていただいた楽曲の中から、アリ・ロンパネン氏作曲「インテルメッツィ」の演奏動画をアップしました。

    いつどこで演奏しても、初演はやはり緊張しますね。また演奏する機会があったらもっと曲の神髄まで表現したいです…!

     

     

  • フィンランドでのプロジェクトと演奏会

     この度、混合芸術プロジェクトおよび演奏会のため、フィンランドに滞在してきました。

    前半はピアノ・シンセサイザー・サーカスによる即興パフォーマンス「ムジカ・アエレア」の制作を行いました。異なる分野とのコラボレーション、さらにほぼ完全に即興で演奏するのは初めてでしたが、共にアイディアを出し合い制作していく過程は本当に楽しく、刺激に溢れるものでした。エアリアル・アクロバットのサッラ・ハカンパー、シンセサイザーを担当した作曲家のアリ・ロンパネン、ありがとうございました。

    滞在後半は、3つの演奏会に出演させていただきました。

    ヘルシンキでは、前述のロンパネン氏の作曲個展にて2つのピアノ作品を演奏させていただきました。ヨエンスー音楽祭そしてユーカでは、フィンランドと日本の楽曲によるリサイタルを行う機会に恵まれました。リサイタルにあたり、ロンパネン氏そして日本の若手作曲家・久保哲朗氏にはそれぞれ新曲を提供していただきました。フィンランドで演奏するのは初めてでしたが、とても温かな雰囲気に見守られ、無事に終えることができました。

    (なお、演奏会の様子はこちらからご覧になれます)

    合間には、豊かな自然を堪能することができました。日本とは種類の異なる高木やたくさんの湖、この広大な自然が、歴代フィンランドの作曲家たちの作品にも少なからず影響を与えたのだな…と思いながら、大らかで感慨深い気持ちになりました。

    滞在中現地で親切にして下さった多くの方々、見知らぬ私の演奏を聴きにいらして下さった方々、不在中日本で生徒たちのサポートを快く引き受けて下さった講師の皆様、支えてくれた家族や友人、本当にありがとうございました。

    音楽に携われることに感謝し、引き続き努力して参ります。

  • シェア奥沢でのリサイタルが終わりました

    もう一週間経ってしまいましたが…

    先週9月4日、シェア奥沢でのリサイタル「音で奏でる自然―光と影」が無事に終了いたしました。

    久しぶりのリサイタルで、1時間プログラムを2回演奏、自分のお気に入りの曲ばかりの選曲、初演曲もあり…ということで、私にとってなかなかこだわりの入った演奏会でした。

    会場のピアノも1917年製で、ちょうどプログラムの曲と同じ年代の楽器。とても温かな音色を奏でてくれました。

    また、会場のオーナーさんがフィンランドの建築や文化にご興味がおありで、控室の椅子や会場のお花の花瓶もアアルトのデザインという、偶然にもフィンランドプログラムにぴったりのコラボレーションでした。

    事前のリハーサルで楽器を使わせて下さり、またプロと変わらぬカメラワークでライブ配信して下さった堀内さん、企画段階から諸々の手続きまで沢山お世話になりました朝倉さん、当日お忙しい中いらして下さった皆様、応援して下さった方々、遥かフィンランドとリモートで繋ぎ、初演曲を聴いていただきアドバイスくださった作曲家のアリ。本当に多くの方々に支えられているのだと、感慨深い気持ちになりました。心から感謝申し上げます。

    ライブ配信の映像も残っていますので、こちらからご覧いただけます。

    そして、初演曲の「エラキス」(アリ・ロンパネン作曲) はこちら。

    さて、現在はこの本番が終わるまで放置していた曲たちを慌てて練習中です💦 次は9月21日(水)、昨年に引き続きあおば音楽ひろばに出演させていただきます。今年はフルートの齋藤志野ちゃんとの共演。久しぶりの室内楽が楽しみです!

  • ウィーンでの演奏会 – Insel / Frieden @ Alte Schmiede

    しばらく更新が空いてしまいました。皆様いかがお過ごしでしょうか。

    先週、以下の演奏会のためウィーンに行ってきました。渡航に際してはまだ何かしら制約があるものの、大きな問題もなく無事に戻って来られました。

    https://alte-schmiede.at/alte-schmiede/recital-2/anna-ihring-eriko-takahashi

    過去にも何度か共演している、コロラトゥーラ・ソプラノのアンナ・イーリンクとの演奏会でした。今回は新作の初演も含め、オーストリアを中心に様々な作曲家の作品を演奏しました。

    今回、それぞれソロの作品も演奏しました。彼女は、エレクトロニクスの作品や (歌ではなく)声色で表現する作品、鋏を持ってカスタネットのように鳴らしながら歌う作品なども披露し、素晴らしい集中力での熱演でした。

    私は、アポステルの「クービニアーナ」から4曲、そしてロンパネンの新作・委嘱作品「カローンの静寂」を初演しました。

    「クービニアーナ」は、オーストリアの画家クービンの、不気味で陰鬱な絵画に着想を得た作品。実は今回、ちょうどレオポルト美術館でクービン展をやっていて、まさにぴったりのタイミングで見ることができました。

    「カローンの静寂」は、冥界の渡し守カローンにより霊魂があの世に運ばれ、裁きのときまで己の人生を振り返る―といった様子を描いています。

    この作品では内部奏法が使われています。ピアノの構造(フレームの位置など)はそれぞれ違うため、当日の朝まで会場のピアノがどのようになっているかわからず、どきどきでした!無事に終えられてほっとしています。

    リハを重ね、私の渡航前から準備を進めてくれたアンナ、リハに立ち会って下さった作曲家の皆様、会場のスタッフそしていらして下さった方々、ありがとうございました!

     

  • 演奏動画:「華やかな翼の笑顔」(K. ニエミネン)

    再び演奏動画です。

    以前「バートルブース」の際に紹介しました、カイ・ニエミネンによるピアノ曲「華やかな翼の笑顔」です。

    何だか少し不思議で、それでいておしゃれなタイトルですね。スペインの画家ジョアン・ミロの同名の絵画がもとになっています。

     この作品は2つの楽章から成っています。1楽章はゆっくりした厳かな和音の部分と、軽やかに空中を飛んでいく翼を思わせる、速い部分の対比が聴き所です。2楽章はカタルーニャの悲歌(Plany)に基づいた、物悲しく憂いに満ちた曲想。

    どうぞお楽しみ下さい!

     

  • 演奏動画:「3つの情景による夜想曲」(S. パルムグレン)

    先日「あおば音楽ひろば」で演奏しましたパルムグレンの「3つの情景による夜想曲」を、後日改めて録音しました。

    演奏会でお客様を前に1回限りの演奏をするのと、録音機を前に何度も繰り返し弾くのとでは、やはり感覚が違ってきますね。それぞれ異なる楽しさ・難しさがありますが、そのどちらも勉強になります。

    パルムグレンの名曲、どうぞお聞き下さい。

     

  • 演奏動画:「菊」(A. ロンパネン)

    少し更新が空いてしまいました。皆様いかがお過ごしでしょうか。

    さて、先日フィンランドのタンペレでは、ピアノコンクールが開催されました。第二次予選では、3曲の現代音楽からひとつを選択して演奏することが求められ、その課題曲のうちのひとつが今回ご紹介する作品、アリ・ロンパネンの「菊」です。

     よく聞くと、出だしの部分は以前紹介したことのある「Convolvulus」(昼顔)とそっくりですね。昼顔から菊への変身、といったところですが、雰囲気も構成も全く違うものに仕上がっています。沢山の花びらが集まって丸くなったように、左手の細かな音が絶え間なく周回し、その上に神秘的な右手のメロディーが浮かびます。

    菊と言えば桜と並んで日本の国花であり、皇室の象徴、パスポートの紋章にも使われている、高貴さを象徴する花ですね。(身近なところだとどうしてもお葬式の花を連想してしまいますが、尊さゆえに使われるということで、花自体に死者を弔う意味はないということを、初めて知りました…)

    こちらは、先日いただいた、中秋の名月にちなんだブーケ。真ん丸の菊は、満月そっくりですね。

    ちなみに、偶然か否か、コンクールの舞台に飾られた花の中にも、真っ白な大振りの菊の花がありました。 先日9月25日と26日に、二次予選に出場した参加者のうち4名によって初演されました。

      

  • 演奏動画:「スターシス II」(B. スパーン)

    蒸し暑い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

    新たな演奏動画を公開しました。

     バルト・スパーンの「スターシス II (原題:Stasis part 2)」です。

    オランダで活躍する作曲家で、ピアノ曲を始め室内楽作品も多く手掛けています。音楽学と歴史を専攻する傍ら、ロックバンドで演奏していたこともあり、作風にはしばしばポップスの要素を感じさせます。

    この曲はピアニスト、ラルフ・ファン・ラートのために書かれた3部作のピアノ曲「Stasis」の第2部にあたります。無限ループにはまったように繰り返されるモチーフが、ソステヌート・ペダルの効果により、宇宙空間を漂うように響きます。